〜生命現象におけるカルシウムの役割〜 2004年6月22日(火)
東京薬科大学生命学部
 深見 希代子 教授
群馬県立高崎女子高等学校

講義風景
〜講義の概要(深見先生より)〜
 ワトソンとクリックがDNA二重らせん構造を発表して50年が過ぎました。また昨年は詳細なヒトゲノムの解読宣言もされました。マウスのゲノム解読も終了しています。この様に確かに遺伝子の構造についての情報は明らかになりましたが、その遺伝子が作り出す蛋白質がどの様な機能を持ち、体の中でどう働いているのか、また種々の疾患とどう関わっているのか、といった情報については未知な部分の方が多いのが現状です。蛋白質の機能を解析するためには、色々なアプローチの仕方があります。プロテオームによる蛋白質の発現を網羅的に解析する方法は、特に病気の発症時に変化する蛋白質を検索するのに有用です。またNMRやX線を利用した蛋白質の構造解析は、それぞれの蛋白質が、他のどの様な蛋白質と相互作用をするのか、どんな情報伝達経路を持つのかを解析する上で非常に役に立っています。
 我々の行っている蛋白質の機能を解析する手段は、遺伝子欠損マウスを使う方法です。人工的に遺伝子を不活性化することで、蛋白質の発現ができない様にしたマウスです。こうしたマウスを観察することで、マウスという個体の中で、その蛋白質がどういう働きをしているかを理解する事ができます。ショウジョウバエ、線虫を用いて遺伝子欠損動物を作成する方法はコストが安く、早く解析できる大きなメリットがあり、広く普及されていますが、複雑な蛋白質の高次機能を知るためには、哺乳動物を用いる必要があると考えています。
 今回のセミナーでは、我々が長く解析してきた細胞の中の情報伝達系イノシトールリン脂質代謝に関する酵素の遺伝子欠損マウスの解析を紹介します。イノシトールリン脂質代謝は、カルシウムを介した生理現象に広く関与していますので、こうしたマウスでは色々な所の機能に異常が生じます。今回は受精、腫瘍形成、皮膚の恒常性維持などにおけるカルシウム伝達系の重要性を中心にお話する予定です。


〜生徒の感想〜
今日はヒトやマウスなどの、体内のカルシウムの役割や、皮膚の状態などについて、とても詳しく学ぶことができた。私はこれほどまでミクロの世界の体の構造について考えたことがなかったので、今日の講義はとても魅力的なものだった。毛がないマウスが生まれたり、皮膚に異常のあるマウスができたりと、これらは偶然に生じたものではなく、とても密で複雑なメカニズムがあることを、さらに理解できた。これらの研究によって、医療がさらに発達し、病気の問題が1つでも多く解明されていけばよいと思った。今日の講義で生物に対する興味がさらに湧いた。
とても分かりやすい説明で、面白い講義でした。膜を構成するリン脂質の非対称性は知らなかったので、大変興味を持ちました。ひっくり返ることで全く違うシグナルを出し、アポトーシスにつながることなど、新たな発見がたくさんあり楽しかったです。ネズミを利用したノックアウトマウスによる実験方法など、細かく説明してくださったので、このようにして個体レベルから遺伝子レベルに研究していくのか!と、興味を持ちながら聞くことができました。私は、今日のような遺伝子などの分野に興味があり、とても好きなので、この講義を聞けてとてもよかったです。これからもいろいろなものに興味を持ち続けていきたいと思います。
講義風景
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