〜火山と共に生きる社会〜 2004年4月22日(木)
産業技術総合研究所 地質調査総合センター
 地球科学情報研究部門 部門長 富樫 茂子 先生
群馬県立高崎女子高等学校

講義風景
〜講義の概要〜(富樫先生より)
 日本は世界でも有数の火山国です。現在でも三宅島の島民4000人が3年以上の避難生活を強いられています。今後50年の間の日本では、活動度がAランクの13火山のほとんどが噴火し、富士山などBランクの36の火山の半数程度が噴火し、そのいくつかは大きな災害をもたらす可能性があります。
 大学や気象庁を中心とした火山性地震の観測により、日本の活動度の高い火山の最初の噴火の直前予知はかなり高い確率で可能になっています。一方、噴火が開始したあと、噴火活動がどのように推移していくかの予測を試みているのが、私たち産業技術総合研究所地質調査総合センターの研究者たちです。それぞれの火山の過去の噴火の歴史を、地質調査で明らかにし、マグマの上昇モデルを作ることで、このような予測か可能になります。
火山は災害をもたらすだけでなく、温泉や鉱床等の恵みをもたらしてくれ、私たちが生活し産業活動をする大地を生みだしています。火山災害を小さくすると共に、火山の恵みを受けて、人類が地球と共生することが可能な持続的な社会をつくることが、私たちに必要とされています。
 私は高崎女子高の地学クラブで地質学と仲間に出会いました。卒業論文は青森の恐山火山でした。大学院卒業後、現在の研究所に入所し、多くの人と様々な研究をして25年がたちました。現在は研究管理の仕事が主になっていますが、共同研究者たちと富士山の研究を続けています。この仕事に出会えたことをとても幸せに思っています。
講義風景
講義風景
富士山の溶岩
〜生徒の感想〜
今まで火山と聞くと、悪いイメージしか浮かんできませんでいたが、よく考えてみると、私の大好きな温泉も、火山のおかげでできているのです。三宅島の噴火のとき、テレビで見た噴煙の様子などは、今でも生々しく脳裏に浮かぶほどですが、そのような火山が私たちに与えてくれる恵みのことも忘れてはいけないと感じました。また、富士山の噴火の可能性については、以前何かで聞いたことがあり知ってはいましたが、今回詳しいお話が聞けて、更に興味を持ちました。赤城山が、昔富士山と同じ形だったことや、今は静かな富士山が噴火をくり返す山だったことなどは、本当に興味深かったです。火山から宇宙まで、スケールの大きな講義でした。
私は今、山岳部で火山や山の成り立ちについて勉強しているので、今日の講義はとても身近に感じられた。普段見ている山々にも、何千万年という歴史があると思うと、山に対する見方が変わって来るような気がする。それから、実際に溶岩や岩塩を手にとって見ることができ、細かい粒や光沢の様子が、じっくりと観察できた。また、火山には特徴や個性があって、それぞれ違う性質があることにも驚いた。火山は灰や火山弾を降らして、人間にとってやっかいなものではあるけれど、温泉や地熱エネルギーなど、人間に恵みももたらしてくれる。今日の講義で、火山の多い日本に住む私たちは、火山と共生して行くことが、改めて重要だと実感した。
講義風景
岩塩
TOP
BACK